日本機械学会は2024年10月4日(金),大阪科学技術センター(大阪市西区)で「状態監視振動診断技術者コミュニティ第14回ミーティング」(主査:渡部 幸夫 氏,元 日本精工)を開催した。
2004年にスタートした「ISO18436-2準拠 機械状態監視診断技術者(振動)」資格認証制度は2024年で21年目を迎え,2024年8月時点の試験合格者は,カテゴリ I 851人,カテゴリ II 4,972人,カテゴリ III 509人,カテゴリ IV 38人となっている。また2009年に開始した「ISO18436-4準拠 機械状態監視診断技術者(トライボロジー)」は,カテゴリ I 1,252人,カテゴリ II 262人,カテゴリ III 13人となっている。(表1,2)
(2004年度第1回~2024年度第1回)
(2009年度第1回~2023年度第1回)
同資格は診断技術に特化したものであり,これまでに類のない資格として,設計技術者,保全技術者から高度専門家まで,また重工業・回転機械製造,エンジニアリング・メンテナンス産業,石油,化学,鉄鋼,電力,ガスなど多岐にわたる産業分野の技術者が資格を取得している(図1,2)。
それぞれ振動診断技術という共通の技術に携わる,異なる業種にある技術者同士の技術交流,情報交流,情報交換は新たなヒントを得る貴重な機会であり,技術力の向上に役立つことから,機械状態監視診断技術者のコミュニティの場として,また資格取得者に対するフォローアップの場として毎年開催している。
14回目となる今回は66人が参加し,同コミュニティ幹事の内田 洋之 氏(JFEアドバンテック)が司会進行を務め,渡部 主査による挨拶とコミュニティの活動報告の後,三重大学特任教授 陳山 鵬 氏による特別講演「設備診断理論と実践の結びつきについての探求とその難しさ」,振動カテゴリ IV 合格者による事例紹介として,野呂 貴之 氏(酉島製作所)による「ワイヤレス状態監視センサーによるキャビテーション診断事例」,倉敷 豊 氏(川崎重工業)による「産業用一軸多段遠心圧縮機で経験した振動事例紹介」の2件の講演が行われた。
その後,恒例の事前Eメール受付による振動相談は90分間と昨年より長く時間をとり,「焼却設備 排ガスブロア 振動大について」「縦型キャンドポンプのフルイドホワールの対策」「片吸込みターボ型ファンの軸受 謎の21Hz成分発生」「ルーツ式ブロワー(2葉)の振動計測点について」「三相誘導モーター分解点検直後の振動増加への対応」「配管の枝管位置による渦共鳴の差について」の6件についての回答や技術討論が活発に行われた。
今回初めての取組みとして,振動相談者が自ら相談内容を報告することで来場者から多くの回答が得られた。渡部 主査は「今後はこのような希望者を募り,振動相談の討論を盛り上げたい」と話している。
なお,次回第15回ミーティングは2025年10月3日(金)に名古屋で開催する予定。今回のミーティングの資料やこれまでのカテゴリ IV 合格者の講演資料などは,日本機械学会の「振動技術者コミュニティ」のホームページ(https://www.jsme.or.jp/conference/joutai/)に詳しく紹介している。
○機械状態監視診断技術者(振動/トライボロジー)
資格認証試験についての問い合わせ先
日本機械学会 事業企画グループ
TEL 03-4335-7616 FAX 03-4335-7619
E-mail joutai@jsme.or.jp
URL https://www.jsme.or.jp/jotaiweb/
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日本機械学会 松田 博行 - 状態監視振動診断技術者コミュニティ
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トライボロジー資格認証小委員会 野口 昭治 - トライボロジーと資格制度
玉川大学 似内 昭夫 - 機械状態監視診断技術者(振動)資格認定の状況
関西大学 岩壺 卓三