楠本化成が潤滑油添加剤「ひまし油誘導体」の国内販売を強化 | ジュンツウネット21

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楠本化成株式会社 添加剤事業部 営業本部本部長(兼)国際営業本部本部長 楠本 陽介 氏に聞く  2024/6

潤滑油添加剤商社の楠本化成は,2024年1月からインドのひまし油誘導体製造メーカーRoyal Castor Products(ロイヤル キャスタープロダクツ,以下「RCP」)社と日本国内における総代理店契約を締結し,ひまし油誘導体の日本市場への供給を開始した.そこで楠本化成(株)添加剤事業部 営業本部本部長(兼)国際営業本部本部長 楠本 陽介 氏(写真1)にひまし油誘導体の特長や同社サービスなど今後の展望についてお話を伺った.

楠本 陽介 氏-楠本化成が潤滑油添加剤「ひまし油誘導体」の国内販売を強化
写真1 楠本 陽介 氏

―インドでのひまし油誘導体事業との関わり

楠本化成は,国内外の合成樹脂,精密化学品,電子材料など商社部門の化成品事業,「DISPARLON」ブランドで高機能,高品質の添加剤を国内外の塗料・インク・接着剤・シーリング材分野に供給する添加剤事業,「ETAC」ブランドで各種信頼性評価機器の開発・販売や各種試験・分析サービスのエタック事業と3部門を柱に活動しています.

ひまし油は,トウダイグサ科の植物であるヒマから得られるヒマ種子を搾取することで得られる非可食の植物油です.SDGsや地球温暖化への関心の高まりの中,サステナブルな原料として注目されており,世界中でひまし油誘導体を採用する動きが活発となっています.ひまし油誘導体の用途としては,潤滑油,グリース,水溶性切削油など金属加工油,塗料,化粧品,医薬,接着剤,バイオマスプラスチック等,広範囲に使用されています.一方,昨今の世界的な原料高騰により原料コスト低減が大きな課題となっていることから生産地に近いインドで生産されるコスト競争力のあるひまし油誘導体の需要が急拡大しています.

特に世界のひまし油のほとんどがインドで生産されています.インドでの生産量は約80万tで,他には中国,ブラジル,タイが主な生産地です.弊社では長年,ひまし油誘導体を自社製品の一原料として使用していることもあり,ひまし油市場の動きを注視しながら,現地との関係性を強化してきました.ひまし油の日本国内需要や展望を共有し,潜在用途の提案を行うことで,両国の橋渡しに努めてまいりました.

―Global Castor Conference 2024でのプレゼンテーション

ひまし油の生産地であるインド・アーメダバードではGlobal Castor Conference 2024が2月23日に開催されました.“The Solvent Extractors’ Association of India(SEA)”が主催するもので,歴史があり今回第22回目の開催となります.グジャラート州のラジプート大臣や海外からの参加者を含め400名以上が参加しました.

また2017年に始まったSEAによる“Castor Seeds Yield Improvement Project”(ひま収穫量改善プロジェクト)は7年目を迎え,グジャラート州の9地区とラジャスタン州の2地区に拡大し,約600のモデル農場が誕生しました.現在インド全体の平均生産量も2,000kg/ha以上に向上し,インドのひま農家の収益が向上しています.

さらに,ひまし油業界の持続可能な発展を目指し,“World Castor Sustainability Forum(WCSF)”の設立が発表されました.ひまし油がより持続可能な製品として世界中で認知されるために,ひまし油業界全体での活動が本格的に開始することとなります.

ひまし油市場の動向に関しては,ひまし油供給メーカーや需要家がパネリストとして参加し24年度の需要と価格について活発な議論が行われました.

また,海外各地域からの代表者による各地域の需要動向についての発表があり,日本市場においては弊社から“Castor Oil & Castor Oil Derivatives Market Outlook in Japan”と題したプレゼンテーションを行い,日本へのひまし油関連製品の輸入動向やひまし油が使用される製品例について紹介しました(写真2).

Global Castor Conference 2024でのプレゼンテーションの模様-楠本化成
写真2 Global Castor Conference 2024でのプレゼンテーションの模様

―潤滑油添加剤の今後の展望

インド最大のグリース製造会社であるStandard Greases & Specialities(スタンダード グリース スペシャルティズ,以下「SG」)社のグループ会社であるRCP社は,SG社グループの豊富な市場情報をもとにR&D機能を強化,ひまし油誘導体の他,現在ではアスファルト改質剤,石油掘削液助剤,テキスタイル柔軟剤,滑剤(アマイド系ワックス)等のオレオケミカル製品の新規製品ラインナップを拡充,欧米を中心とした大手海外顧客へ輸出をしています.

またSG社は1983年設立でグリースや潤滑油製品のOEM,潤滑油添加剤や多機能化学品の製造販売をしています.グリースは42,000t/年,潤滑油ブレンド設備は75,000kL/年の生産能力で海外グローバル顧客のOEM製品などインド最大規模のメーカーです.

弊社は2000年代前半からインド市場に参加しています.2012年にRCP社へ資本参加し,RCP社本社工場にて添加剤製品の生産委託を開始,グローバル規模で海外顧客へ供給して参りました.タイムリーな情報をいち早くお客様に提供できるというのが強みです.

これまでの自社での豊富なひまし油誘導体応用技術を活かし,現在サンプル出荷を開始し性能評価をしていただいております.東京本社・札幌・名古屋・大阪・福岡にある全国の販売拠点からソリューションプロバイダーとしてコスト競争力のあるRCP社のひまし油誘導体をより細かなサービスとともに日本市場に展開してまいります.また,今後はさらに環境負荷低減が求められている新規ニーズに対応した新製品も積極的に投入する予定です.


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